CBD(カンナビジオール )は、ストレス緩和や不眠症改善に効果があると、近年注目を集めています。
CBDの原料は、嗜好用のマリファナと同じ大麻草。嗜好品としてのマリファナは、タバコや酒と並べて語られることが多いため、「CBDにも依存性や中毒性があるのでは?」と、不安に思う方もいるのではないでしょうか?
結論からお伝えすると、CBDに依存性や中毒性はありません。
こちらの記事では、WHO(世界保健機構)の見解を踏まえたCBDの依存性や、中毒性、副作用などについて解説します。「健康のためにCBDを試してみたいけど、危険性があるのか心配」という方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
【WHO(世界保健機構)の見解を紹介】CBDの依存性や中毒性は?
CBDには鎮静作用や抗酸化作用など、美容や健康をサポートする薬理作用が報告されています。とはいえ、仮にCBDに依存性や中毒性があるとしたら、使用を躊躇してしまうでしょう。
CBDには、ニコチンやアルコールのような依存性は報告されていないのでご安心ください。
CBD摂取による有害反応、依存や乱用の可能性について、WHO(世界保健機構)の見解を併せてご紹介します。
ヒトにおける有害反応について
2017年にWHO(世界保健機関)とECDD(薬物依存に関する専門委員会)から公表された「カンナビジオール(CBD) 事前審査報告書」では、下記のように評価されています。
「CBD が THC のようなカンナビノイドで典型的に見られる効果を産み出さない。」
「CBD の潜在的な治療効果を数多くの管理されたオープン試験を横断的にみると、良好な安全なプロフィールをもち、一般的に良好な忍容性(許容性)がある」
引用:
http://cannabis.kenkyuukai.jp/images/sys%5Cinformation%5C20171206225443-F93DD6CFE8B1C092970601FFD88BDBE2E5F96AE8B22F18642F02F65C6737547F.pdf
大麻に含まれるTHC(テトラヒドロカンナビノール)は、多幸感を覚えたり、気分を高揚させたりする精神作用があります。対して、CBDはTHCのような効果を産み出さないと述べられています。
つまり、CBDにTHCのように気分をハイにする精神作用はありません。CBDは、大麻取締法で規制対象のTHCとは違い、安全性が認められた成分ということです。
依存の可能性について
いくらCBDが安全な成分でも、依存性があるとしたら安易な使用は避けたいところ。やめたくてもやめられない状況に陥る可能性はないのでしょうか?
同報告書では、下記のように述べられています。
「CBD の潜在的な身体依存効果(例えば、離脱症状や耐性)に関するコントロールされたヒト研究 では、報告されていない。」
引用:
http://cannabis.kenkyuukai.jp/images/sys%5Cinformation%5C20171206225443-F93DD6CFE8B1C092970601FFD88BDBE2E5F96AE8B22F18642F02F65C6737547F.pdf
マウスを使った動物実験と人間に対するヒト臨床試験において、身体依存の可能性は見いだされませんでした。
乱用の可能性について
先ほども述べたように、CBDには美容や健康への効果が期待できます。ところが、効果を求めるあまり、一定の基準や限度を超えて摂取するような「乱用」の可能性があっては危険です。
同報告書では下記のように、CBDに乱用の可能性が認められないことを報告しています。
「十分にコントロールされたヒトの実験的研究からのエビデンスは CBD が乱用可能性と関連しないことを示している。」
引用:
http://cannabis.kenkyuukai.jp/images/sys%5Cinformation%5C20171206225443-F93DD6CFE8B1C092970601FFD88BDBE2E5F96AE8B22F18642F02F65C6737547F.pdf
乱用に関しても、ラットを用いた動物実験とヒト臨床試験が行われました。その上で、乱用の可能性は低いと結論づけられています。
また、CBDはTHCとは違い、中毒や陶酔感、精神病症状と関連しません。
「CBDの経口投与量600mg では、(中略)中毒あるいは精神病症状の主観的なレベルのスケールにおいて、 プラセボ(偽薬)との違いがなかった。それと対照的に、THC(経口 10mg)投与は、(中略)主観的な中毒と陶酔感に関連していた。」
「THC は、同じく精神病症状と不安を増やした。THC が心拍数を増やしたのに対して、 CBD は生理学的効果を持っていなかった。」
引用:http://cannabis.kenkyuukai.jp/images/sys%5Cinformation%5C20171206225443-F93DD6CFE8B1C092970601FFD88BDBE2E5F96AE8B22F18642F02F65C6737547F.pdf
このようにCBDは依存や乱用、中毒を引き起こす可能性が低いことが公表されているのです。
CBDは他の依存症を抑制?
上記でCBDの依存性や中毒性が低いことを述べました。注目したいのはそれだけではありません。
CBDは、薬物やアルコールなどの依存性を緩和する可能性があるのです。
ヘロイン依存症の治療について
ヘロインは、コカインやアルコールよりも依存性が強い物質です。CBDは、ヘロイン依存症の治療に役立つ可能性が示唆されています。
2009年に「Journal of Neuroscience」で紹介された記事によると、ラットを用いた実験で、CBDはヘロインに対する探索行動を弱めました。また、その優位性は投与後2週間続きました。
「CBD effects were also evaluated in regard to extinction of heroin self-administration behavior. The extinction sessions were conducted at the end of the maintenance phase of heroin self-administration, which lasted ∼2 weeks. 」
引用:https://www.jneurosci.org/content/29/47/14764
アルコール依存症の治療について
次に、CBDのアルコール依存症に対する影響をご紹介します。
2019年に「Journal Frontiers in pharmacology」で紹介された研究によると、動物実験において、CBDがアルコールの摂取量を抑えたという結果が報告されています。
「Experimental studies find that CBD reduces the overall level of alcohol drinking in animal models of AUD by reducing ethanol intake, motivation for ethanol, relapse, anxiety, and impulsivity.」
引用:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fphar.2019.00627/full
CBDはヘロインやアルコールの依存だけでなく、タバコや他の薬物依存症にも効果があると考えられています。
CBDは原材料が大麻であることから、「CBD自体に依存性があるのでは?」と懸念されがちですが、実際はむしろその反対なのです。
【大麻 vs 酒・タバコ・コーヒー】依存度合い比較
CBD成分には依存性がないことがわかりましたが、そもそも大麻草自体に依存性はあるのでしょうか?
1994年の米国国立薬物乱用研究所(NIH)ジャック・ヘニングフィールド博士による研究では、大麻はアルコールやニコチン、コカインなどと比較して最も依存性が低いと評価されています。
下記は、研究で比較された成分を依存性の高い順に並べたものです。
高い↑
- ニコチン
- ヘロイン
- コカイン
- アルコール
- カフェイン
- 大麻
低い↓
参照:https://www.drugpolicyfacts.org/chapter/addictive_properties
依存性という観点に限定すると、日常的に摂取している人が多いアルコールやカフェインのほうが、大麻よりも強力であることがわかりました。
上記を見ると、CBDだけでなく大麻自体もタバコやお酒、コーヒーよりも依存度が低く、安全であるかのように見えます。
ところが、大麻の危険性は主に依存性よりも、幻覚作用を有していることにあります。
たしかに大麻の依存性は、タバコに含まれるニコチンやアルコールよりも低いです。しかし、大麻に含まれているTHCには、幻覚作用や記憶に影響を及ぼす可能性があります。そのため、THCは法律で規制され、大麻の所持、譲受・譲渡等は違法となっているのです。
CBDとTHC、大麻を混同せずに、安全性の高さが確認されているCBDをうまく活用しましょう。
CBDの副作用と安全上の注意点
最後にCBDの副作用について解説します。CBDに依存性や中毒性は確認されませんでしたが、副作用がまったくないというわけではありません。
純度が低いCBD製品は副作用の可能性がある
上記で述べたように、CBDは安全性が高い成分です。ところが、まれに下記のような副作用がみられる場合があるので、把握しておきましょう。
【CBDの副作用】
- 倦怠感
- 強い眠気
- 下痢
- めまい
- イライラ感
こういった副作用の原因は、CBDそのものというより、製品中の不純物であることが考えられます。
海外から輸入されるCBD製品は、原料や抽出過程の管理が徹底されていない可能性がゼロではありません。THCやその他の残留成分が、身体の不調を引き起こしてしまうことがあります。
また、CBDの適量は人によってさまざまです。一般的にはリラックス効果が期待できる摂取量でも、まれに目が冴えて眠れなくなってしまう人もいます。摂取量が身体に合っていない場合、副作用が出る可能性があるのです。
CBDの副作用について理解した上で、服用時は下記のことに注意してください。
CBD製品の信頼性を確認し、用法・用量を守ろう
まず不純物による副作用を引き起こさないために、製品の信頼性を確認しましょう。
CBDの純度や調達元がきちんと公表されていない場合、安全性に不安が残ります。摂取前に商品パッケージや公式ホームページをチェックすることをおすすめします。
また、どんな薬やサプリメントも同じですが、服用するときは用法・用量を必ず守ってください。CBDを過剰摂取してしまうと、副作用の可能性も高まります。
はじめは少量からスタートし、徐々に用量まで増やしていくのがおすすめです。自分の体調に合った適量を探して、CBDをうまく生活に取り入れましょう。
まとめ
CBDに依存性や中毒性は確認されていません。WHO(世界保健機関)とECDD(薬物依存に関する専門委員会)による研究においても、CBDが有害反応や依存、乱用の可能性と関連しないことが報告されています。
むしろ、CBDはアルコールやタバコの依存、ヘロインなどの薬物依存の治療に役立つ可能性が示唆されています。
また、CBDだけでなく、原料となる大麻自体の依存性もそれほど高くありません。研究により、ニコチンやアルコールの方が依存性が高いことがわかっています。しかし、依存性が低いからといってTHCを含む大麻が安全というわけではありません。
期待に反する副作用を引き起こさないためにも、THCなどの不純物がないCBD製品を選びましょう。用法・用量を守り、自分の体調と相談しながらCBDを活用してみてくださいね。
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